
「もっと建てればいいのに」と言われることがあります
お客様や同業の方から、時々こう言われます。
「そんなに評判がいいなら、もっと棟数を増やせばいいのに」
「年間10棟は少なすぎませんか?」
確かに、効率だけを考えれば、もっと建てることは可能です。
需要もありますし、ありがたいことにお声がけもいただきます。
ですが、私たちはあえて、
年間10棟までと決めています。
それには理由があります。
理由①:無垢材の品質を守るため
鈴木工匠の家は、構造材から内装材まで、
徹底して無垢材を使用しています。
無垢材は工業製品ではありません。
一本一本、木目も性質も異なります。
良質な材は限られており、
大量仕入れ・大量消費には向きません。
私たちは、
「とりあえず木を使う」のではなく、
納得できる木だけを使うことを大切にしています。
そのため、自然と棟数には限りが出ます。
理由②:自社大工による“一棟入魂”を守るため
家の性能は、図面では決まりません。
最後は「誰が建てるか」です。
鈴木工匠では、外部に丸投げすることはありません。
熟練の自社大工が、最初から最後まで責任を持って施工します。
木組みの精度。
どんとパネルの納まり。
無垢材の癖の読み。
これらは、経験と集中力が必要な仕事です。
数を追えば、
どうしても一棟一棟への密度は下がります。
私たちはそれを選びません。
理由③:設計と対話の時間を削りたくない
家づくりは、図面を描くことではありません。
暮らしを描くことです。
ヒアリングの時間。
何度も修正を重ねる打ち合わせ。
将来のライフスタイルまで想像する対話。
この時間を削れば、
もっと効率的に建てられるでしょう。
でも、それでは
「そのご家族の家」にはならない。
だから私たちは、
打ち合わせに十分な時間を確保できる棟数に制限しています。
理由④:品質のばらつきをなくすため
年間何十棟、何百棟と建てる会社では、
施工品質に“波”が出ることがあります。
担当者や大工によって差が出る。
現場によって仕上がりが違う。
鈴木工匠では、
それを起こしたくありません。
どの家も、
同じ思想で、同じ基準で、同じ情熱で。
それを守るために、
量より質を選んでいます。
理由⑤:建てた後も、ちゃんと向き合いたいから
家は完成して終わりではありません。
住んでからの小さな疑問。
数年後のメンテナンス。
暮らしの変化への対応。
棟数を増やしすぎると、
アフターフォローが薄くなります。
私たちは、
建てた後も「顔が見える関係」でいたい。
だから、手の届く範囲でしか建てません。
それでも、なぜ10棟なのか
10という数字に特別な意味があるわけではありません。
けれど、
良質な無垢材の確保
自社大工の施工密度
打ち合わせ時間の確保
アフター対応
これらをすべて守れる現実的な数字が、
今は「10棟」なのです。
数を増やさないという“覚悟”
住宅業界では、
棟数=実績
と見られることもあります。
ですが私たちは、
棟数ではなく「満足度」で評価されたい。
効率を上げるよりも、
精度を上げたい。
急ぐよりも、
深めたい。
その結果が、年間10棟という選択です。
合う方にだけ、届けばいい
正直に言えば、
私たちの家づくりは、万人向けではありません。
スピード重視の方。
とにかく価格最優先の方。
大量供給型を求める方。
そうした方には、合わないかもしれません。
けれど、
木の家を本気で考えている方
素材にこだわりたい方
長く住み継げる家を望む方
そうした方には、きっと届くはずです。
年間10棟は、制限ではなく“約束”
私たちにとって「10棟」は、
できない理由ではありません。
守りたい品質への約束です。
一棟一棟、
心から「建ててよかった」と思っていただける家を。
そのために、
今日も10棟という数字を守り続けています。

